元同僚の香港人、くーさんのナビで香港・マカオをタビしました。
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24時間世界が動いている。香港はそんな雰囲気の街だった。広東語、北京語、英語、日本語、東南アジアの国籍不明な言語が街中を飛び交い、100年前の古さとビジネス中心街の新しさ、林立するオフィスや住居のビル群が、不思議な現実感を伴って眼前に存在していた。
羽田を発ったANAの夜便は深夜0時過ぎに香港に到着した。香港空港は3年前のシンセン出張以来の二度目である。前回は仕事だったため、空港へのピックアップがあり、バス移動だった。今回はプライベートな観光旅行なので、ホテルまで自力で移動しなければならない。宿泊ホテルのピックアップは、安価なシャトルバスサービスが終了した時間帯の到着という理由で勧められた時間外サービスのリムジンは驚くほど費用が高かった。タクシー乗り場の方向に予想をつけ、なかなか見えない出口に向かって歩き出す。途中、日本語で話しかけてきた怪しげな人物がタクシー運転手だったので、乗り場を探す手間が省けた。ホテルからの電話で教えてもらった250ドルから300ドルというホテルまでのタクシー参考料金を上回る350ドルを事前に要求される。降車時、メーターは300ドル弱を示していたが、夜中だし疲れていたので乗車時の請求料金、350ドル(約4500円)を普通に支払った。
ホテルは香港の案内人、くーちゃんお勧めのハーバープラザ香港。くーちゃんは以前の会社の同僚で、日本には4年間ほど滞在し、退職後、香港に戻って暮らしている。せっかくなので、少々割高だが港の見えるハーバービューの部屋をオンライン予約していた。短いやり取りの後、フロントで渡されたカードキーは最上階の、広々として窓の多い、清潔感あふれる申し分のない部屋へと続いていた。これで一泊1400ドル(約18000円)なのでかなりのローコスト・ハイクオリティだ。 |
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今回の宿泊先ホテルは最上階のハーバービュー。内装も小奇麗で快適でした |
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目覚めたら海 |
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部屋の真下は海に面したプロムナードになっていました |
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翌朝はくーさんとホテルのロビーで待ち合わせをしていた。時間は9時だ。当日の予定は香港の野鳥観察。香港には東京と同様、街中にもさまざまな鳥が生息している。鳥種はもちろん東京とは異なる。私が一番見たい鳥はヤマショウビンだかアオショウビンというアカショウビンのような鳥だ。大きなクチバシをもち、得意げな目つきをするキュートな鳥です。
ホテルを出て少し歩くと、早速お目当ての野鳥に出会った。香港風ヒヨドリだ。香港旅行計画の際、くーさんに見たい旨を伝えると、木のある場所にならどこにでもいると返答され、半信半疑だった。ところが今、道路を隔てた木の上でピーピーやっているのがまさしくその張本人なのであった。
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ホテル近くで早速見つけたコウラウン/Red Whiskered Bulbul |
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マンション植え込みのゴミの隣にも発見 |
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さて、もう一つのお目当て、アオショウビンの出る公園には、くーさんの住むマンション近くの駅から地下鉄で3駅ほどのアクセスだ。私は以前、長野の戸隠でアカショウビンに出会っているので、今回アオショウビンに出会えればアカ、アオ揃うことになる。なかなか希少な経験である。
ホテル近くにバスのロータリーがあった。さすがに香港人をガイドに持つと非常に便利だ。今回はガイドブックなしで渡航してきているのでなおさらだ。通常、初めての街ではバスなどの難解な乗り物は敬遠するものだが、何も考えずに公共の交通機関を利用できるというのはパッケージツアーなみに楽でかつ香港人の目線をキープ出来る。持つべきものは海外の元同僚である。緊張感が極めて緩いので、スリにだけは気をつけようと心に誓った。 |
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ジャスコ発見! |
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ホテル近くのバスターミナル |
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ダブルデッキバスの2階部にて流れる香港の風景 |
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看板がやたらとでかいのが大阪っぽい |
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ダイナミックなとりにく |
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ホテルからくーさんの最寄り駅まではバスで1時間ほどの距離だった。街中を抜け、山間部にさしかかり、頂上まで登ったと思ったら、その上にまたさらなる街が広がっていた。くーさんは今朝、早起きしてこんな遠くからホテルまで迎えに来てくれたのかと思うと、なんて良い人なんだろうと感動する。 |
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香港の住宅街もビル群を形成している |
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くーさんが数年前に購入したマンションの一室が含まれるビル群、1階は大きなショッピングモールになっている |
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宣伝がやたらとでかい。これは映画を見たらクーポンがもらえるという宣伝だとくーさんが教えてくれた |
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くーさんの最寄り駅から地下鉄に乗る。くーさんはなんと、パスモのような便利なカードを2日間貸してくれた。チャージ後、地下鉄にもバスにもトラムにも乗ることができるという便利なカードだ。5月の香港は真夏で、バスや地下鉄のエアコンが肌寒いくらいに効いているので、どんなに暑くても長袖の上着は手放せない。目的地の公園に近い駅を降りると、陽射しがますます強まっていた。 |
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公園がある駅にもビル群を形成する住宅街 |
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アオショウビンの出る公園は、公園というよりも池のような場所だった。あんなに山を登ってきたのに、池の水は海水が流れ込んでいるというから驚く。香港は一体どんな地形になっているのだろう。日曜なので、のんびりとくつろぐ人々が多く、木陰のベンチは休日を水辺でのんびりと過ごす多くの人々で全て埋まっていた。日よけのため、頭に小さな傘を取り付けて釣りを楽しむ親子連れがいたので思わず盗撮してしまった。 |
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一帯を表す道標:ワンプーンの小径? |
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手を使わずに日よけができる。欲しいかどうかは別にしてもなかなかのアイディア商品である。 |
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海水が流れ込む池 |
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猟師の小船だろうか。どうして隅ではなく真ん中にあるのか不思議だ。使うときにはどうやって船までたどり着くのか。 |
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多くのゴミが浮遊する池の水は決して綺麗とはいえないが、魚は生息しているようなので鳥たちが餌目当てにやってくる。どこからか飛んできた鳥たちが池に漂う船上で羽を休めるわけだが、中には船に取り付けられた魚籠の魚を物欲しげにじっと眺めるものもいる。鳥たちが近づかない船が一艘だけある。見張りの犬が乗った船だ。飼い主は見当たらない。犬だけを池の真ん中に漂わせたまま、不在なことが多いという。損な役回りを押し付けられ、小さな船上をうろうろとひとりぼっちで歩き回る犬に少し同情する。 |
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最初に姿を現したのは白黒の子、シキチョウ/Oriental Magpie Robin。鳴き続けることにより自分の存在を誇示していました |
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カラスには風変わりなトサカがあります |
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アカガシラサギ/Chinese Pond Heron:くーさんには珍しくもなんともないが、私はその姿に釘付けでした |
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飛翔写真はくーさん撮影:とても丁寧な飛び方ですね |
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おなじみ、ゴイサギさん飛来 |
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んっ?!! |
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この魚籠(ビク)のサカナ、食べたいです・・・(獲物は自力で捕らえましょう) |
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イソシギさんは磯のコモノを狙います |
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小船に取り残された犬 |
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池のほとりには一切、影が見つからないので暑さが不快になってきた。 「くーさん、一旦カフェでワインでも飲もう」 くーさんは酒を飲まない。日本の同じチームで働いているときの飲み会でも飲むのはソフトドリンクだけだった。 「香港人は休日でも昼間から酒を飲む習慣がないから、そんな店ないよ。旅先間違えてるよ。ヨーロッパ行かなきゃ無利だよ。」 「東京にだって昼間からワインやビールを飲めるカフェは☆の数ほどあるよ。」 「ここは香港だよ。」
言葉につまりながらも、とにかく涼しいところに避難しようと提案しかけた頃、アオショウビンが鳴いた。 戸隠のアカショウビンを彷彿させる鳴き声だ。 「確かにここにアオショウビンがいるね。でも声が聴けたからもういいよ。アオショウビンは諦めよう。」 わざわざ香港まで来ているのに暑さに負けてしまった私なのだった。 |
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過去、くーさんが撮影したアオショウビン |
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