2007年8月4日、サイパンの休日二日目です。
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スーサイドクリフ |
二日目はエコアドベンチャーツアーの日だ。何をするのかはわからないが、洞窟やジャングルなどを探検した後、ビーチでBBQやシュノーケルなどをし、最後にスパでしめるというものだ。
このツアーは娘に相談することなく、二名分をネットで勝手に申し込んだ。
申し込みの理由は、このツアーにはバードアイランドが含まれていたからだ。今回はサイパンの鳥を見ることも私の目的だったため、サイパンガイドにバードアイランドという文字を見つけたときは、これだけは外せないと思った。
ブルーグロットも魅力の一つだ。イタリア旅行の際、カプリ島のブルーグロットを諦めざるをえない状況に陥り、かなり落胆した。2年後にマルタ島でブルーグロットを見たときはちょっとした感動だった。
サイパンのブルーグロットはどんな洞窟だろう。
洞窟へは滑りやすい階段をかなり降りなければならないという説明を受けた。洞窟内部ではスノーケリングができるらしいので、皆水着になった。何も持たず、カメラすら持たずに降りてくださいと言われる。ライフジャケットの着用を強いられたので、「ライフジャケット着るんですか?」と一言尋ねてしまったら、水深23メートルだとか安全を守らずに以前怪我した客がいただとか、延々と怒られ始めたので言わなきゃよかったと後悔した。
下に降りると、今度は岩の上から飛び込みましょうと言われた。いきなり知らない場所に飛び込むので少々躊躇したが、参加者たちがかまわず次から次へと飛び込むので、私も思い切って飛び込んでみたら大丈夫だった。娘は最初、洞窟で泳ぎたくないと言っていたので少し心配だったのだが、思い切って飛び込んだ後はそれなりに楽しんでいるようだったので安心した。彼女は「サカナがあまりいなかったので助かった」と言っていた。私はウミガメを見たかったのだが見られなかったので残念だった。
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いつのまにか楽しんでいる娘 |
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ツアースタッフが撮ったブルーグロットのサカナ |
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こいつは食えそうだ・・・ |
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サカナは深いほうに潜んでいたようだ |
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神秘的なブルーグロット |
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スノーケリングを終えて岸に戻る |
ブルーグロットの次は、いよいよお待ちかね、バードアイランドです。どんな鳥たちが集まっているのか、期待感が高まる。 「ばばさま、よかったね。鳥が見られるじゃん」と、最近の私の趣味をよく理解している娘も言う。
目的地に着いた。
確かにあった。島が。
ただその場所は、バードアイランドが視界に入る高台から景色を見るためだけのスポットであった。鳥は確かに多く巣作っているのであろうが、遠すぎて肉眼では鳥種を特定できない。 望遠で撮って拡大しても、鳥らしいスポットがぽつぽつ見えているだけであった。
「ばばさま、残念だったね。」と、私の落胆をよく理解している娘が言う。
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バードアイランド |
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きれいな海の色 |
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拡大すると岩の断崖に鳥影らしきものが・・・ |
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娘と二人で哀愁の背中
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気をとりなおして次の目的地へ |
エコアドベンチャーなので次はジャングル探検だ。ジャングル探検といっても私がアフリカで体験した熱帯雨林の滝見ツアーなどより遥かに歩く距離が短い。ほんのお散歩程度だ。
滝の代わりに洞窟を見た。 第二次世界大戦時、日本軍が隠れたといわれる洞窟らしい。サイパンは戦場になったため、戦争にまつわる多くの場所が今では観光スポットになっているようだ。娘が撮影した洞窟の写真には無数のタマシイが写っていた!! 客は観光気分なので、大戦中の多くの悲劇がガイドの口から軽い調子で語られる。青空と太陽と海と戦争は、今の平和な世の中においては、人々の悲しい過去を古代の神話のように非現実化させてしまう。まだほんの数十年前の話なのに。
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パパイヤの木にまだアオいパパイヤがなる |
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洞穴の底には今でも多くの人骨が眠っているという |
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白いヒトガタは古代の壁画らしい |
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ジャングルのヒカリをみて娘が「スタジオジブリっぽい」とコメント |
さて、私はサイパンに何をしに来たのだろう。何のためにこのオプショナルツアーを申し込んだのか。
そうだそうだ。トリを見に来たのだった。などと忘れたふりをしているが、実は最初の場所、スーサイドクリフで現地人のガイドに鳥のことを尋ねていたのだった。 ガイドいわく、スーサイドクリフでしきりに聞こえていた声はメジロだそうだった。今回私が見たかったトリのひとつ、ミクロネシアのメジロだ。 とても小さく動きも早いので、残念ながら姿は見られなかった。 メジロは日本でもまだ見られていないトリ。 私は余程メジロに縁がないのだなぁとがっかりした。
ただし、カワセミは見た。グロい食べ物をクチバシにはさんではいたが、とてもキュートだった。やはりカワセミは良い。トリ写真は旅行記の最後にまとめて掲載します。
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洞窟の次はまたまた大戦の名残見物であった。山の途中の開けた場所に点々と戦車が展示してあった。戦車はもともとひからびるままに打ち捨てられていたそうだが、何年か前の天皇陛下訪問の際、塗り替えられたらしい。塗り替える必要などあったのだろうか。
ここで特筆すべきなのは、島で一番安いボージョボーが売られていることだ。ガイドが「ボージョボーを買うならここで買うのが一番安いですよ。」とせっかく教えてくれたのだが、私は昨日ホテル近辺で既に買ってしまった。「残念ながら昨日10匹ほど買ってしまいました」と告白してお得なボージョボーの代わりに周囲の失笑を買った。ボージョボーを大量に購入予定の方は、ぜひ戦車展示場でお買い求めください。
感動もあった。ここにはスーサイドクリフにいたカワセミくんが何羽かいた。相変わらずブキミなものをクチバシにはさんだが、じきに飲み込んだ。
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朽ち果てた戦車は塗りなおされた |
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激安ボージョボー売り場 |
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午前の部はそろそろ終わりだろうと思っていたら、最後にサイパン一高い山に車で登るというプログラムが残っていた。サイパン一高い山といっても、周囲にはこの山以外に山らしい山が見当たらなかった。
空港からホテルに向かうバスの中で、ツアー会社のガイドが、「ここがサイパン一の繁華街、ガラパン地区です!!といってもサイパンの繁華街はここしかありませんけど。」と言ったのを思い出した。
山の上からはサイパン中を見渡すことができ、近くにテニアン島もみえた。サイパンは想像以上に小さな島だった。
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頂上から見た海、遠くに浮かぶのは米軍の船 |
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珊瑚礁に囲まれたマニャガハ島 |
ようやく午前の部も終了し、それこそようやく昼飯にありつけることになった。私も娘も朝飯ぬきで活発に行動した割には、空腹感がそれほど強いものではなかった。それでも午後1時を過ぎるとさすがにきつい。BBQビーチに着き、着席する。虫が多く、決して清潔といえる場所ではなかったが、ただひたすら何か食べたかった。その場所では、ヤドカリや、なんと鼻のとがったネズミまで出た(でもかわいかった)。羽虫や蟻は無数にいて、無料のアイスティータンクの注ぎ口から蟻が何匹か入り込むので、あらかじめ少し出して蟻を追い出してから注ぐ始末だった。テーブルがないので、椅子の上に置いたアイスティーの紙コップを手にとろうとしたら、中で蟻が何匹か入水自殺をしていた。私はアイスティーを諦め、ホテルで購入しておいた、ぬるくなったお茶のペットボトルを少しずつ飲んだ。
しばらくすると紙皿に数種類の焼き物がのせられた物が運ばれてきた。フランクフルト、トリ、牛、ムール貝、にんじん、きのこ。焼きおにぎりもある。 清潔な場所以外での食事を極力避けたい私は本心ではかなりひいていたが、周囲の目を気にして黙っていた。それよりも娘が騒ぎ出さないだろうかと気が気ではなかった。
娘の表情をのぞきみると、『無理です!!』と顔に書いてあった。
見て見ぬふりをした。
ついに娘のおにぎりに蟻がのってしまった。もう見て見ぬふりはできない。私は本当は嫌で嫌でたまらなかったが、二人とも手をつける前だったので、仕方なく娘のプレートと私のプレートを取り替えてあげた。 娘は、「本当にいいの?!」と意外にも感謝していた。 その場で大騒ぎされて、ツアー参加に対して散々文句を言われて、結局手をつけられなくて空腹感が増してお腹がすいたと夜まで言われ続け、私が逆切れして喧嘩になり、挙句の果てにサイパンなんか来なきゃよかったとまで言われることを考えると、おにぎりに蟻のついたプレートを交換してあげることくらいお安い御用である。
BBQは所々真っ黒にこげて『美味しい』とは程遠いものだったが、空腹だった私たちはほとんど食べてしまった。私のプレートに、蟻がのったであろうと想定される、くずれたおにぎりの一部が残されただけだった。
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ビーチにいた鼻のとがったネズミ |
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午後はビーチで遊び、十分遊んだら適当な時間にスパに行ってくつろげばいい。BBQはともかく、なかなか良く出来たプログラムだと思う。
一足先に海に入ったツアー参加のご夫婦が、「サカナがすごくたくさんいますよ」と教えてくれた。早く見たくて仕方ないのだが、サカナを気持ち悪がる娘が心配だ。彼らは娘にも同様に教えてくれていたが、娘は素直に、「サカナは気持ち悪いから泳ぎたくないです」と答えていた。
とにかくスノーケリングセットを借りに行った。2セット貸してくれようとしたが、娘は断った。代わりにシーカヤックをやりたいと言い出して、OKをもらった。
私はスノーケリングでさまざまなサカナを見た。2年前に行ったココスの海に
いたサカナたちばかりだったが、久しぶりだったので楽しかった。ゴーグルの隙間から海水が入り込んできたので底にフィンをついて立ち上がった。 鋭い鳴き声がして、私の視線の高さを一羽のトリがかすめるくらいの近さで飛んでいった。
カワセミくんだった。
ビーチにもいたんだ・・・。
娘はシーカヤックで沖のぎりぎりの位置まで行って遊んでいた。私は少し心配だったのだが、後で尋ねたら沖のほうまで遠浅で、オールを降ろしても底に届いたようだ。
「シーカヤックは面白いし、サカナも関係ないし快適だったよ。」
心配して損した。
曇ってきたので、そろそろ引き上げてスパに行くことにした。スパはそれこそ快適だった。仰向けになって海が見晴らせる露天風呂や屋根付きジャグジー、プルメリアの花がたくさん浮かんでいる花風呂があった。
露天風呂で海を眺めていると、突然鋭い鳴き声がしてトリが飛んできた。トリはしばらく風呂の脇の低いサボテンの木のてっぺんに止まっていた。顔の表情までがよく見える近さだった。残念ながらスパまでカメラを持ち込んでいなかったので撮影はできなかったが、あのちょっとずる賢い感じの目つきや、小さくて可愛らしく、涼しげでブルーなカワセミくんの姿ははっきりと記憶した。
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スパの入り口
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